倉多江美の漫画

 倉多江美の漫画で、一番、印象的だったのは『イージー・ゴーイング』。エリート意識を捨てきれないばっかりに、命を捨ててしまう学生の話なのだけれど、こういうことって、形を変えてどこにでもあるんだろうな、と思う。今でも「せっかく、いい大学を出て就職したんだから、辞めるなんて考えられない!」といって働き続け、過労死する人もいるくらいだから、この漫画が描く時代みたいに、上の学校へ行けることが出世とイコールだった時代、家族の期待を裏切り、エリートコースを捨てるなんて、できたことではなかったんだろう。

 もちろん、この漫画の魅力ってそれだけじゃないし、そういう風にまとめるのは乱暴だと思う人もいるだろうけど、そういう読み方だってできる。

 ほかに好きな作品は『かくの如き…!』や『一万十秒物語』の、幽霊譚だろうか。この人は、ゆるーい漫画(『雨の日は魔法』『ひまわり屋敷のテンプルちゃん』)も面白い人だから、どれも好きなんだけど…。