バレエを観る

 正直、見ても退屈って人は多いと思う。バレエは、ルール(十字架の近くにいる人は死なない、とか)をわかって、男がタイツを履くことに違和感がなくて、時間とお金に余裕があって、劇場まで行く気合とそれ用の服を選ぶ程度の常識がないと、趣味にするのは無理。単純に見ても、それなりに綺麗ですが、それに何千円も払える?私が部外者だったらたぶんできない。

 でも、パントマイムみたいに言葉がないから、オペラのように外国語を聞かされる心配がなくて、ここはバレエのいいところ。一度オペラを観たけど、字幕を追うので必死だったから、それくらいならストーリー付きの綺麗なマイム=バレエを観るほうがいい。よく見れば、ダンサー同士の視線のやり取りに気づくし、同じ作品を違うバレエ団で観れば、どっちが好きとかいう好みも出てくる。

(『ロミオとジュリエット』は、演劇好きな人ならロイヤル・バレエの振付がおすすめ。エレガンスさよりも、勢いと勇猛さがお好きなあなたには、バリシニコフの『ドン・キホーテ』。熊川哲也もいいよ。この人のテクニックは、一見の価値ありです。)

 バレエが好きなのと、生で観るのが好きなのは、ちょっと違うと思う。劇場に通うには、気力も財力もいる。お気に入りのダンサーだって、老けていくし引退もする。好きになったときのままの姿ではいてくれないから、熱が冷めることもある。その点では映像に軍配が上がるから、私はこっち派だ。問題は、本物の舞台とのタイムラグと、映像化されないものも多いこと。さすがに明日のバヤデールは、足を運んだほうがいいかもしれない。