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山田詠美をジャケ買い

 山田詠美『ぼくは勉強ができない』(新潮文庫)をジャケ買い。装丁に惹かれて本を買う行為って、なんて言うんだろう?とりあえず、外見を気に入って購入したわけです。高校の制服を着た男子生徒が、涼し気な目で読書する、なんだかエロティックな感じがする表紙です。イラストは佐々木美穂さん。本を買うまで知らなかったけど、HPを見る限り、この人が中央にドンと人物を持ってくることは珍しいみたいだ。

 作品がイラストレーターを触発してできたのが、この作品なんだとしたら、すごくいい話だと思う。誰かの要請に従ってできたものが、自分で好きに作るものを超えることがあって、新しい可能性は、思いもかけないところから生まれることがあると教えてくれる。『俺俺』の表紙もインパクトがあるけど、これはもともと石田徹也の作品だったんじゃないか。初めて見たときはギョっとしたけど、結局買ったな。『石田徹也遺作集』。

 特別この作家が好きと言うわけではなくて、正直言って『ひざまづいて足をお舐め』あたりはタイトルからしてついていけないのだけれど、読みやすいよね、山田詠美。高校生の、ずっと年上の彼女がいる、顔に恵まれた主人公は、あまりに自分の生きる世界とかけ離れているから『ぼくは勉強ができない』は、私にとって完全にフィクション。ただ、人が生きるっていうことは、もっと自由であっていいんだなと思わされる。高校生だからセックスするな、ということじゃなくて、その「高校生」って括り自体に問題があるんじゃないか、いろんな17歳がいてよくて、それを私たちは画一的に見ようとし過ぎている、そんな気がする。