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山岸涼子のこの作品

 『メタモルフォシス伝』です、一番好きな山岸涼子作品は。小さい頃に繰り返し読んだせいで、ほとんど頭に入ってる。一昔前の進学校を描いた漫画で、男子生徒の放つ「こっちは花嫁の持参金代わりに大学行くんじゃないんだからな」とか、女子生徒の「T大出なんてお嫁のもらい手がないって(親は)反対してるわよ」という台詞、時代を感じさせる。今だったら、女性でも「出世と権力欲のために」いい大学を出たがる時代ですが。

 知り合いの、仲の良かった男の子が、不本意ながら親の期待に応えて医学部を目指していたのだけど、結局挫折していた。彼が本当にやりたいのは工学だった。いい人だったんだけど、他にやりたいことがある時にさえ親に遠慮するような優しさは、はっきり言って命取りだ。無理矢理やらされることって、大抵モノにならない。『メタモルフォシス伝』の久美ちゃんは「数学も物理も大嫌い!」と母親に向かって叫ぶけど、そうできない人も多いのがこの世の中で、だからこの漫画は今も価値がある。

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