フランス文学『ベラミ』とジャスミン

 鹿島茂フランス文学は役に立つ!』で紹介されていた本を借りてきた。モーパッサンの『ベラミ』。野心と顔だけの男が、女をつてに出世する話です。

 鹿島さんは、主人公をオム・ファタル、女性が人生を棒に振るような男として捉えて分析しておられた。女性が自分の力に自信を持つようになった社会では「いい男を養い育てる」のが愉しみのひとつになるのも無理はない。隣に連れて歩くかわいい男の子のことをボーイ・トイ、おもちゃの坊やって呼んでいたのは、ハリウッド界隈の女性たちだったか。このところのジェンダーフリーの流れって、甘えた男とキツい女を量産している気がするんだけど、それが平等主義者にとっては理想の社会なのかな。養われる男の価値は、もちろん外見!女の自尊心を満たすための、文字通り玩具のような主人公は、最後にはどうなるんだろう。まだ全部読んでないからわからない。

 読書中、お供の紅茶はジャスミン中国茶が好きな割に、ジャスミンはその「花っぽい」味わいが好きになれず逃げてきたけど、最近挑戦してみたらおいしかった。Green Jasminと書いてあるから、青々しいジャスミンということで、普通のとは少し違うのか?

 養われる側になる以上は、相手にとって優秀なお飾りになる必要がある。女性の外見が重んじられてきたのは、ひとえにそれが男にとってのわかりやすいトロフィーだから。今度は男にそれが求められる、そういう時代になりつつある。『ジュールおじさん』も、記憶に残る話だったけど、この『ベラミ』もさすがモーパッサン。細かな描写もうまくて、人々の当時の生活が絵に描いてあるみたいにわかる。個人的に好きなのは、日本趣味の小物を買ってきて、壁紙のしみを隠す場面の貧乏くささ。