電車での化粧――異性として見られないこと

 電車内での化粧については賛否両論ある。怒りの声は、圧倒的に男性から上がっている感じがするけど、どうだろう。多くが中年か、それ以降の男性によるもの。叩く側は、言わば「おっさん」だ。

 女性が相手をオトコとして見ていたら、その人の前で化粧なんてしない。裏を返せば、化粧の過程を見せていいのは、もう生殖機能に期待しない相手だ。おじさんたちは、自分たちが「ただのオッサン」として認識され、現役の男として扱われないことに怒っている。そうとしか見えない。自分が異性として見られていないことへの不愉快を、マナー問題にすり替えるのは正当なやり方なのか?

 男性は女性に比べてストライクゾーンが広い。つまり、異性として扱う人間の絶対数が多い。だから彼らは電車で身支度を整えたりしない。髭を剃ったり、歯を磨いたりするところは、異性として意識する相手に見せるものじゃない。若い男の子だって、公衆の面前でイチから髪をセットしたりしない。

 だがしかし、女性のストライクゾーンは狭い(と言われている)。だから、電車の中にそれっぽいオトコがいなければ、堂々と化粧し始めるのも無理はない。彼女たちが「なんでそれが責められるのかわからない」と言うのは、それが当たり前のことだと思っているからだ。

 だから、男性の感じる不愉快をわかってもらうのは難しいだろう。いくらマナーの問題にしようとしても、女性の多くはそれをマナー違反だと思っていないのだから。どうしても、というなら「俺たちのこともちゃんと男として見てくれ!」と素直に下手に出るしかないだろう。