どうしてこれが好きなんだろう


Taylor Swift - Ours

 テイラースウィフトの歌う曲の中で、これが一番好きかもしれない。テイラーは、失礼だけど、少し冴えない感じがとても似合うと思う。そして、その「少し冴えない」ものが、好きなのってなんでだろうと思う。

 成功した大スターなんて、見たくないのかもしれない。いけすかなくて羨ましくて、手の届かないものなんかより、コーヒーがこぼれていて、紙飛行機を投げられる毎日をなんとか生きている人を見ている方がずっと安心するのかもしれない。自分より弱い境遇にある誰かが精一杯生きているのを見ることほど、人にとって安心できて、明日への些細な希望を持てることもない。

 このPVの冒頭、親しみが持てるのです。私はアメリカというと、何か人々が輝いていてパワーに溢れていて、その分攻撃的だっていうイメージがぬぐえないんだけど、土地は違えど人間は普遍的に人間であるという事実に安心するし軽く絶望する。

 人生は舞台だ、という言葉がある。そうかもしれない。でもどんな舞台を演じたらいいかわからなくて、舞台の上で途方に暮れている自分が見えるみたいだ。人生に正解はない。その事実がむしろ苦しい。シナリオのない舞台。原作者のいないゲーム。神さまは、チェスのプレイヤーがその駒を愛するように私たちを愛しているのか。それとも、役者に対する観客のように見守っているのか。

 そういえば、文学にしろ映画にしろ、神様目線で物事が見られるから、どんな出来事も受け入れられるし愛おしいんだよね。これが自分の身に起こったらたまらないけど、他人のことだから眺めていられる。その「眺めている」感じがよく出ているものだから、きっと好きになる。