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幸福な瞬間

 幸せだと思うのは一瞬で、どんなに安定した生活を送っていたとしても、その全ての瞬間が幸福だっていうのはありえない。だから、幸福な瞬間ばかりを追い求めても、それは「刺激が欲しい」ってだけであって、結局ロクなことにならない気がする。お酒を飲んで気持ちよかったのが忘れらわれずにアル中になるとか、人に褒められる快感に味を占めて、ブランド品を買い漁って破産寸前、とか。中毒とか不幸とか呼ばれる出来事はだいたい、幸福になろうとさえしなければ避けられた事態が多い。逆説的だけど。

 最短ルートで幸せになろうとする人には、スピリチュアルや麻薬が必要かもしれないけど、幸福そのものに対してガツガツせずに、さらさらと生きている人のほうは、健全な人生を送っていたりする。去る者は追わず来る者は拒まず、というスタンス。執着心が薄くて、何が幸せかを定義しない代わりに、何が不幸せかという定義も持っていない、そういうものに私はなりたい。なんでかって、それが結局は一番幸福に見えるからだ。

 哲学者の中には「うじうじ考えてないで動け。幸せはその中にある」という人もいれば「機嫌よくいようと努めることの先に幸せがある」という人もいれば「倫理に敵うことがすなわち幸福である」という人もいて、定義は人それぞれだけれど、「そもそも幸福について悩まないこと」も付け加えたい。「幸せ中毒」みたいになってしまう人生も、なにか違う気がするから、万華鏡みたいに色とりどりで、色々あってそれが幸せな人生なんです、っていうことで納得して生きていきたい。