情緒は大事だと思う

 「感情的」が悪いことであるかのように言う人がいるけど、情緒のない会話って耐え難い。少しも気持ちを表現する言葉が入らずに、ひたすら正論ばかり言ってる関係って、そうとう特殊ではないのか。噂話みたいに、情報や出来事のやり取りばかりするのも、会話のレベルとしては低くて「私はこう感じてる」「こう思ってる」っていう気持ちの交流ができるのが、質の高い関係ではないのか。人は、誰かに共感してほしかったり理解してほしかったりしてコミュニケーションを取る。だとしたら、必要なのは相手への想像力や共感能力だから、「真面目で正しいことしか言わない人」が、モテないのも当たり前っちゃ当たり前なのだよね。

 昔、経済を勉強していてさっぱり小説を読まない子がいて、一緒に食事をしたことがあるけど、ものすごくつまらなかった。その人が、何が好きで嫌いなのか、どういう好みを持っている人なのかが全然わからなくて、ただひたすら流行りのものとか経済の話とか、自分がどれだけよい肩書を持っているかを聞かされた。そんなこと、どうでもいい。どうでもいい会話が、それを話す人を魅力的に見せることは絶対ない。

 顔がよくなくても話がうまければモテる、というのと似ていて、感情表現――「嬉しい」「辛い」「悲しい」「幸せ」とか――を上手にできる人は、けっこう人気がある。人間関係の問題って、ひとつには表現力の問題なんじゃないか。生まれ育ちとか関係なくて、自分を表現する言葉を持っているかどうか。でもこれに関しては、学校ではトレーニングする機会がなくて、家庭でもそれを学ばなければ、誰も教えてくれないことだから、ちょっと怖い。