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おばさんが強いわけ

 誰でも、思春期はじめ若いうちは傷つきやすいものだと思う。私の場合は、すごく些細な――たとえば通りすがりの人に罵倒されたり、ぶつかってこられたり、あるいは電車で席を取られたり、そんなことで悩んだことがある。私の外見が舐められやすいのか、みんな美人にはもっと優しいんじゃないか、私だからやられてしまう理由がきっとあるはずだ……そう思っていた。

 違うんだよな。世の中には、理由もないのに悪意を向けられることがあるんだよ、と過去の自分に伝えたい。ひどくイライラしていて、美人だろうがヤクザだろうか、誰彼構わず八つ当たりする人だっている。この世には、想像が及ばないような悪意の形がある。どんなに気立ての美しい女性であっても「なんで女どもは俺に振り向かないんだ!」と女全体に逆ギレする通り魔(アメリカでそんな事件あったよな)に襲われたりする。被害者になる理由なんてどこにもなくても。確かに、若い女性はやり返してこないから襲いやすい、とかいう理由はあるだろうけど、おっさんでもリンチに遭う危険はあるし、ヤクザには同業者に襲撃される危険がつきまとうだろうし、完全に安全な人はいないんだ。

 小学校の頃に読んだ本の中に、護身術を習うシーンがあって、教える側の言ったことが面白い。「殴られても、気を確かに持ってください。ダメージは大したことがなくても、殴られたこと自体に衝撃を受けて、立ち直れない人がいるんです」こんな感じの台詞だったと思うが。そう、傷そのものはどうってことない。自分が憎まれているショックのほうが大きいんだ。だから、そういう精神的苦痛さえ上手にスルーできるようになってしまえば、きっと些細なことでは落ち込まなくなる。世の中のおばさんたちがたくましいのも、そういう経験がモノを言っているんだろうなあ。