睡眠賛歌

 何がしたいの?と聞かれても、意識の高い解答なんて出てこない。「好きなだけ寝ていたいです」と思う。「眠るのが好き」と言うと、無趣味だねと白ける人が多いけど、あのね、本当に好きなの。たっぷり睡眠を摂った時の爽快感たるや、鬱から一番遠い。そして「あともうちょっと寝ていたい」という時に、時間に追われず布団にくるまっていられるときの自由さたるや、こんな手軽に得られる気分の良さはありえないと思うくらい素晴らしい。どれだけ外に出て有意義な経験をしても、睡眠のくれる快感を超えたものは今のところない。生理的欲求をまず満たさないと、ほかのことなんて楽しめないのだから。

 昼過ぎまで布団の中にいても、罪悪感なんて湧いてこない。「半日ムダにした……」と落ち込む人の気持ちがよくわからない。半日あったら私は寝るからだ。村上春樹の本で『毎朝夢を見るために僕は目覚めるのです』みたいなタイトルのがあった(うろ覚え)けど、そんな感じ。起きて、見た夢を思い出しているのも好きだし、睡眠がメインで、昼の自分は夜寝る自分のために仕えてる。もう一回言う。メインは夜。

 毎日、穏やかな眠りに就くことさえできれば、その人は貧しかろうが負け犬だろうが成功者だ。それってもう心の持ち様の問題だから、そんな幸せな成功者になら誰でもなれる。過労死っていう言葉を聞くたびに、金は寝具に使ってさっさと寝ろ、と思う。睡眠は大事。それを中心に人生を考えてもいいくらい大事。