ゆるく好きな人々

  真面目に働いている人は大体好きです(もちろん、ちゃんと休みを取ってほしい)。近所のローソンのお兄さんも爽やかでハキハキしていて好きだし、特にUさんに会えた日には足がフワフワするくらい浮かれるのである。靴を売ってくれたおばさまも、感じのいいお姉さん店員も、素敵な接客業の人たちは輝いて見える。直接好意を伝える機会はないけれど、嫌いじゃない証拠にそこに通っているような、ゆるく好きな人。

 通りすがりの、黒髪ストレートで眼鏡の地味な女の子も、怪しがられさえしなければ、声をかけて一緒にお茶を飲みたいくらい。あなたは若くてかわいいよって褒めたい。ボタン式の横断歩道で、ぼーっと立っていたら、さりげなくボタンを押していってくれたお兄さんには、いいことがありますようにと願わずにはいられない。そのとき少し見ただけなのに、忘れられない彼らも、ゆるく好きな人たち。

 こういう人々がいると思うから、自分は今いるところ(地域にしろ国にしろ)を、あまり憎む気になれないのだと思う。そりゃあ不愉快なこともあったけど(通りすがりの罵倒とか痴漢とか、頭のおかしいおばさんとか)それがすべてではないと教えてくれる、雑踏の優しい人々。彼らがなんとなく幸せになればいいなーと思うから、労働条件の劣悪さや、結婚したいけどできない、とかいう話を聞くと悲しくなる。

 好きですと 口に出しては言わずとも ただゆるゆると 好きな人たち

 なんのひねりもない一句。