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「ないこと」のもろもろ

 いわゆるテレビゲームってやつ、人生で三回しかプレイしたことがない。全部、小学校の頃、それも同じ友達のうちで無理矢理やらされただけだ。経験値が低いから当然負けるし、コントローラーの使い方ひとつわからないから、普通に苦痛だった。そういうわけで、平成一桁生まれではあるが、ポケモンもマリオもよく知らない。「ゲームボーイアドバンス」が何なのか、よくわからない。これが「ないこと」のひとつ。

 あと釣りをしたことがない。男の子はよく「父さんと行った」なんて言っていたが、うちの父はインドア派、かつスポーツが苦手だったので、そんなシチュエーションに巡り合ったことがない。港に行くとよく釣り糸を垂らしているおじさんたちがいて、見知らぬ人でも釣り人であれば話も弾むらしい。その世界を知らない自分が、ちょっと口惜しかったりする。これも未経験のひとつ。

 ド田舎に住んだことがない。「田舎は閉塞的で人が腐ってる」と言う人もいれば「何かあったら人々が支え合う。温かいし情がある」と言う人もいる。でも、本当の田舎がどんなに「閉じて」いるかなんて、そこに住んだことのある人しかわからない。ある時、一か月ほど試しに住めないかと思って東北のある村を調べたけれど、物件なんて当然一個も出てこなくて、チョイ住みは諦めた。バスや電車がない田舎の生活が、私には想像もつかない。そこも同じ日本なのに、完全な別世界に思える。そこに住む人々が、何を思って住み続けるのかもよくわからない。「故郷が大事だから」だけではない理由がありそうだけど、それ以外のどんな理由でそこにいるのか思いつかない。今日考えたのは、そんなたくさんの「ない」の諸々。