目標

 好きで愛おしくて泣きたくなってしまうような風景というのが、この世の中にはあって、私はそれになりたい。悲しみを隠したほほえみが、冷たい人と呼ばれることを恐れない勇気ある態度が、どんなに美しいかわからない。そんなものは、この世界で一銭の得にもならなければ、名声を得る手立てにもならないけど、美しいものは美しいと言い続けたい。自分が何とも思わずに生きているのに、誰かがそれを見て感極まって涙するような美しい人生を送りたい。贅沢な夢だ。

 逆説的だけど、他者から見て綺麗であるために、他者を気にしない人間でいたい。さらさらしていて、淀むところがなくて、流れる水のように透明で。目指すのは、そういう境地。

 損得を考えて生きていくと、自分が予想できる程度のちゃちな得しか手に入らない。だって、私は無欲な人にこそ、想像を超えるような素晴らしい何かを与えたいと思うし、世の中の大半の人がそうだろうから、これも逆説的だけど、あらゆるものが欲しいから、むしろ無欲でいたい。ガツガツせずに、すべてを手に入れたい。

 叶えたからって腑抜けになってしまうような目標は、そもそも目標の立て方が間違っているんだ。受験に合格するとか結婚するとか。人生は、何かのイベントを達成したからってそこで終わってはくれない。その後の人生を考えた目標っていうのが、数値化できない目標っていうのが、人生には必要なんだ。