見栄っていう地獄

 見栄を張る人間を、最初に商売のターゲットにした人って誰なんだろう。きっと、すごく頭がいいんだと思う。見栄は張り始めればキリがないし、無限に肥大化して競争を煽る。そうして市場は成長を続けいつまでも経っても形を変えて生き残り続ける。

 何を考えているかっていうと、タイトルを「インスタ映えっていう地獄」にしようかと思ったくらいの、SNSの隆興について。今さらかもしれないけど、昔から流行には随分後れて気づくほうで、その頃にはもうみんなが一通りの失敗をしてくれているので、流行の先端を行くことができない代わりに非常に損の少ないポジションを獲得できる。それはいいとして、みんな外見だけの幸福な生活アピールに必死過ぎて、わたしはもう笑ってしまうよ。いい年したおばさんが、夫とのラブラブ写真を周囲に見せつけるのは、一体なにが満たされなくてそんなことをするの。

 人間が最も気をつけるべき感情は何かと聞かれたら、私はそれは見栄だと答える。金も時間もエネルギーも使う割に、本当に欲しいものが遠ざかっていく、そういう感情だと捉えているから。ヒトに競おうとする本能があるのはわかる。でも、同じところに皆が集中しているときは、そこはもう飽和市場であって、生き残るには不利な場所であることを示しているに過ぎない。SNSを承認欲求に使うのは、たぶんもう古いよ。そうして苦しい。手放したら死んでしまいそうなものほど、手放したほうが楽になるんじゃないかなって、他人のことならなんとでも言える。