人間のモノ化が止まらない

 哲学科出身の自分から見れば、今は人がモノみたいに扱われる潮流が止まらない時代。それを「モノ化」と呼ぼうが「オブジェクティビテ(物体化)」と呼ぼうが変わらない。生身の人がコンテンツになって、自分を一個の完成品として仕立て上げようとする。異常っちゃ異常だけど、吹いた風には逆らえない。

 歌手や俳優の人柄なんてどうでもよくて、歌が上手ければ、演技ができるなら、それでいいよ。それなのにプライベートを晒して、私服が可愛いとか持ち物にセンスがあるとか、もっと有名な誰かと友達だとか、そんなところで人気を取る人がいて、それは「人柄」って呼ばれてる。大衆に愛された者が勝つ、歌も演技もできなくても。別に悪いことじゃない。誰もがそれでいいって言うなら、それが楽しいって言うなら水を差したりしない。

 ただ私は、不倫しようが泥酔して失態を犯そうが、本業さえできていれば問題ないと思う。昔のパリコレのモデルたちは、二日酔いのゲロゲロした姿でバックステージに現れ、それでも仕事はこなして帰るってことが普通だった、と聞いたことがある。今ではそれが難しいのは「モデル」というイメージが崩れないように誰もが自分を商品化するようになったから……かもしれない。まるでみんながみんな、プライベートまでも売り物にして、監視されていることを楽しんででもいるみたいだけど……

 でも本来、大切なものって晒しものにするようなことじゃないし、胸の内深く秘めたものが、いつか文学や芸術として昇華するにふさわしいんじゃない?自分を小綺麗にまとめようなんてしないで、誰も知らないところでぐちゃぐちゃしている人生だってアリなんだし。