お金を稼ぐこと

 まだバイトの経験も何もなかった頃「自分で稼いだお金を使うことほど、楽しいことないんだから」と言われたけど、全然。何人かの人が言うから、初めてバイトで給料を貰うときにはどんなにときめくかと思ったけど、全く何も感じなかった。「色も何もついてないただの金だな」としか。「人の役に立てた!」という感慨も、「これで好きなものが買える!」という感動もなかった。単に生活費の足しになるな、って思っただけ。

 お金を自分にとって意味あるものと交換できる人だけが稼げばいい。そんな風に考えることがある。どうしても行きたい場所やしたいことや、買いたいものがあって稼ぐお金は輝いている。でも自分の場合はそうじゃない。金のかかる趣味もないし、仕事が楽しいからやっているわけでもない。働いて稼ぐことの意味が「生活費」以外に思い当たらない。

 単に世の中にある楽しみを知らないだけなのかもしれないけど、これが自分の人生なんだろうな。今までに「これのためだったら¥いくら¥手放してもいい!」みたいな経験をしたことがない。金は大事だ。それが優先順位の一番上に来ていたのかもしれない。自分が好きなことよりもずっと。

 それが不幸なことだと言う人は、言えばいいんじゃないだろうか。そう言う自分はきっと幸せなんだろうし。なんにしろ、お金の使い道が趣味っていうのはそれだけで、幸福の名に値すると傍から見ていて思う。