夢想家メルシーベビーのブログ

相談所の語学オタク

ターナー展いってきた。

損保ジャパンの美術館で、ターナー展をやっているので見に行ってきました。

何年か前に、上野の美術館でもやってたけど、あのとき来てた大きい絵(タイトル失念。イタリアで描いたというバルコニーからの風景)は傑作だった。

今回は、展示場の都合もあってかスケッチが多く、作品も小振りなものが多い印象。

ターナーの作品って、光がすごく柔らかくて繊細で、それは本当に長所であり素晴らしい。のだけれど……いちまち迫力にかける人なのですよね……

それがどうしてか考えた結果「絵の構図が他人事っぽい」ことがひとつあるかなって。

常に「引き」の構図で描いているんですよ。精密な描写で、うまいんだけど感情がこもらない。いや感情はあるんだろうけど、生々しさがない。

嵐の中、漁に出て行く漁師たちの絵は本人、気に入ってたみたいだけど、どう見ても「自分は絶対にそんな境遇にはならない人間が、傍から見て描いた絵」であることがありありと伝わってくるわけ。実際に漁師たちに交じって間近で描いた絵ではなく、あくまでもその光景を「見ている」人の絵。

そのへんがどこか冷徹というか、現実味を欠いて見えるのだ、ターナーは。

同じフロアにセザンヌ静物画もあるけど、私はこっちのほうがずっといい。セザンヌの描くものは、どこにも冷淡さがなくて、生身の感情だけで描かれていると言っていいほど切迫している、ぎりぎりないい絵だと思う。こっちは常設なのでいつでも見られる。

というわけで、東京行くよ、とかいう方は是非。